世界保健機関(WHO)は新型コロナウイルスについて、「もはや国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態ではない」と宣言しましたが、依然として警戒感は拭えていません。
消費者は健康とウェルビーイングを保つために積極的な行動をとっていますが、食費の高騰に直面しています。健康やウェルネスへの関心と自身をケアすることは、新型コロナウイルスのような特定の脅威のみならず、自身の人生への長期的な投資であるべきだという認識が、人々のライフスタイルに変化をもたらしています。
本記事では、食品科学と栄養コンテンツを専門とするミンテル消費者ライフスタイル アナリスト(APAC地域担当)であるユン・リムより、東南アジアにおける食品とウェルネスをめぐる消費者意識と新製品例をご報告いたします。
金額に見合う価値
食品・飲料などの生活必需品の価格高騰は、東南アジア地域の消費者の46%に影響を与えると予想されています。
消費者は価格に対する意識が全体的に高くなり、食品・飲料の大容量サイズのような目に見えるメリットが提供されることを期待しています。メーカーにとっては、栄養価に加えて汎用性や簡潔さ、利用し易さを提供するチャンスです。
タイでは58%の消費者が、いろいろなレシピに使える食品・飲料は金額に見合う価値があると答え、マレーシアでは、40%の消費者が他の商品よりも調理や準備が簡単な食品・飲料、フィリピンでは38%の消費者が大容量の食品・飲料は金額に見合う価値があると答えています。
ミンテルの2023年食品・飲料トレンド「Savvy Sustenance」では、「消費者は使うお金が少なくなると、栄養価が高く、一日を通してエネルギーを与えてくれる商品を求めるようになる」としています。
BFY(Better For You、体に良い)原材料を賢く選択
マレーシアでは、半数以上の消費者がご褒美の購入を控えて食品・飲料の支出を節約しています。メーカーにとっては、贅沢品カテゴリーでより加工が少ないイメージを提供するため、体に良い原材料を使う良い機会です。
Heal Chocolate Crunch Breakfast Protein Bar(マレーシア)は、本物のココアで作られており、食物繊維とタンパク質が豊富です。乳成分を使用していません。出典:ミンテルGNPD
クエーカーが発売しているOatmeal Dessert Blueberry Nut and Oats Dessert(台湾)は、1食あたり200kcal以下でオーツ麦のフレークと乾燥ブルーベリーが入っています。出典:ミンテルGNPD
マレーシアと同様、インドネシアでも半数以上の消費者が栄養を重視して食品を選ぶと答えています。消費者は今、さまざまな健康ニーズに対応し、信頼できる伝統的な原材料を使用した製品を求めています。そのため、メーカーはホリスティック・ウェルビーイングに焦点を当てることで消費者と繋がり、レモングラス、ショウガ、ターメリック、高麗人参といったアジアの伝統的な原材料の成長を促すことが出来るでしょう。
アンチエイジングではなく、ヘルシーエイジング
東南アジアでは60歳以上の人口の割合が急速に増加しており、シンガポールとタイでは特にこの傾向が強く見られます。メーカーは高齢化する消費者のニーズに応える必要があります。
そのためには、やわらかい食品や低ナトリウム食品など、高齢者層の変化する嗜好や食生活のニーズに沿った製品開発への投資を優先すべきでしょう。
ミンテルの2024年:世界の食品・飲料トレンド「加齢を再定義する」でも述べているように、メーカーは30代と40代の消費者をターゲットに、加齢に伴う症状の予防に焦点を当てた製品やメッセージを提供することで、治療ではなく積極的な予防に重点を移し始めることができるでしょう。若い年齢層の消費者には、日々の健康上の懸念に有益な食品、飲料、サプリメント製品を開発する必要があるでしょう。
Centred.は、更年期障害をサポートする食品サプリメントです(イギリス)。
出典:ミンテルGNPD
Clutch Cognition Energy Drinkは、心理的機能をサポートし、疲労に対抗することができます(デンマーク)。
出典:ミンテルGNPD
ミンテルの見解
メーカーは、家族それぞれのために栄養価の高い食品を利用しやすくすることで、消費者が予算内で健康を優先することのサポートができます。
メーカーにとって、ホリスティック・ウェルビーイングに対する消費者の関心の高まりは、信頼できる伝統的な自国や地域の機能性成分を製品に取り入れるチャンスです。
メーカーはこれらの点に注目することで、加齢についてより包括的で現実的な視点を示すことができるでしょう。
高齢層向けの製品開発についてはこちらの無料レポートでもご紹介しております。
2023アジア太平洋地域における食品・飲料業界の動向(無料ダウンロード版レポート)
本記事でご紹介している各国の消費者調査データや海外の製品トレンドについてのお問い合わせはミンテルジャパンまで。
【お問い合わせ先】
株式会社ミンテルジャパン
〒100-6318 東京都千代田区丸の内二丁目4番1号 丸の内ビルディング18階
Tel: (03) 6228-6595
Email: infojapan@mintel.com