新型コロナウィルスによるパンデミックが発生して間もなく、コロナウイルスを除去・殺菌できる製品として、家庭用ふき取りクリーナーは消費者が生活を乗り切るのに欠かせないものとなりました。しかし、消費者がパンデミック前のライフスタイルに戻りつつある中、ミンテルの世界新商品データベース(GNPD)のデータによると、企業も多目的用ふき取り洗剤や消毒剤から離れ、トイレやキッチンといった、衛生上、常に清掃が必要なエリアに再び焦点を当てていることが示されています。
「クリーン」な家庭用製品への関心の高まり
インドのビューティ・パーソナルケア業界では「クリーン」に関連する訴求がトレンドとなっていますが、家庭用製品においても同様の動きが見られます。抗菌という要素は依然としてこの分野において重要であるものの、徐々に倫理的かつ植物由来といった訴求が増加しつつあり、より「クリーン」な家庭用製品へのニーズの高まりを示唆しています。例えば、ミンテルの世界新商品データベース(GNPD)によると、2022年11月までの過去5年間に発売された製品において、「環境にやさしい」という訴求はトップ10のうちの1つであり、全体の33%を占めています。インド国内の企業は、天然由来の訴求に焦点を当てたイノベーションにより、「クリーン」であることを求めるトレンドを最大限に活用しています。
天然成分への関心の高まりは、家庭内で使用される化学物質が健康に及ぼす影響や、それが環境に与える影響への懸念がつのっていることで追い風を受けています。この点は、ミンテルの2019年の家庭用品トレンド「Healthy, Happy Home(健康で幸せな家庭)」でも取り上げられています。天然由来の成分を使った洗浄剤は、安全性という観点から消費者にアピールすることができます。消費者がよく認知している自然由来成分などの使用を強調することで、その製品が自分や家族にとってより安全であるという安心感を与えることができます。
例えば、インドネシアのメーカーによる、Seven Sages Sevara Collection Bergamot Disinfectantは、70%の食品グレードのエチルアルコールを使用したヴィーガン仕様の製品で、パラベン、保存料、着色料を一切使用していません。 完全に天然由来であることを訴求ポイントとすることも戦略の一つですが、企業にとって重要なのは、天然由来成分に関する訴求と製品の効能の間のバランスを取ることです。消費者へ安全性と信頼性の両方を提供するには、天然由来でありながら効果的な製品を提案することが求められます。
ハイブリッドな働き方による家庭用製品の新たな可能性
ハイブリッドな働き方は柔軟性をもたらし、自宅で過ごす時間を増加させましたが、仕事と家事の両立によるストレスを増幅させる側面もあります。2021年には、雇用されているインドの消費者の36%が、日常生活が非常にストレスフルであると回答しています。
このような時代に、多目的クリーナーは、時間に追われる消費者に効果的かつ簡単に済む掃除方法としてのメリットを訴求することで、新たな利用機会を創出する可能性が期待できます。特に家庭用製品の主要な購入層である親世代をターゲットにすることは効果的でしょう。ミンテルの調査によると、インドの親の57%が、あらゆる箇所を同じ洗浄製品で清掃することを好んでいることがわかっています。彼らが求める機能的訴求の上位には、「頑固な汚れ(46%)」や「油汚れの除去」、および「優れた清掃能力(43%)」が挙げられます。
インドの例として、Koparo Clean Natural All Purpose Sprayが挙げられます。この製品は、キッチンカウンター、家電製品、窓、バスルームなど、さまざまな場所で使用でき、子どもやペットにも安全であると謳っています。 また、別のインドローカルブランドであるZerodor Care Clearnerは、布地を含む様々な素材の表面に使うことができ、あらゆる種類の汚れを落とすことができると訴求しています。
感情的なベネフィットを訴求する
従来、家庭用洗剤は、消費者から情緒的な結びつきを感じてもらうことが難しいカテゴリーとされてきました。 しかし、企業は消費者に「癒し」や「安らぎ」といった感覚を提供することで、情緒的なつながりを強化することができます。
特に、アロマテラピーのように、香りを使って五感に訴えかけることは効果的です。たとえば、インドの国内ブランド「PureCult」の「Geranium & Lavender Floor Cleaner」は、天然成分と生分解性の高い界面活性剤、さらに天然抗菌成分を配合しています。この製品は、ゼラニウムとラベンダーのエッセンシャルオイルを組み合わせた爽やかな香りを特徴としており、気分を高める効果を謳っています。
ミンテルの見解
新型コロナウイルスへの懸念が弱まりつつある今も、衛生は依然として消費者にとって重要であり、家庭用クリーナーへの支出は継続するでしょう。しかし、インフレの影響により、このカテゴリーは苦戦を強いられる可能性があります。2022年9月までの過去6か月間、インド人の52%が家庭用製品の価格をより慎重に検討するようになったと答えています。消費者が予算縮小に直面している中、家庭用品メーカーは彼らに自社の価値を評価してもらうために、より一層の努力が求められます。価格に見合う機能や付加価値を提供することが、競争力を保つ鍵となっていくでしょう。
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