ペットがもたらす健康への影響と私たちがペットの健康のためにできること

ペットがもたらす健康への影響と私たちがペットの健康のためにできること

Published: 2025年2月10日
この記事は5分で読めます

ペットを家族として迎えることは、多くの人にとって喜びに満ちた経験です。犬や猫と一緒に過ごすことで気分が上がるだけでなく、ペットは私たちの心身の健康に良い影響を与えると考えられてきました。飼い主とペットの関係は相互的なものであり、ペットが私たちの健康を支える一方で、飼い主もペットの健康を守ろうと努めています。本記事では、ペットが私たちの健康にもたらす影響、そして私たちがペットの健康のためにできることについて、ミンテルの調査を基に解説します。

ペットの存在がもたらす健康上の利点

ペットを飼うことで、メンタルヘルスが向上するという実感を持っている人は多いでしょう。孤独感を和らげたり、日々のストレスを軽減したりする効果があります。犬や猫だけでなく、ハムスターや魚、さらにはカタツムリなどを飼うことは、心の安定やリラックスにつながることが多くの研究でも示されています。つまり、ペットを飼うことで、多くの人がつながりを感じ、リラックスし、穏やかな気持ちになれるのです。

また、ペットは私たちの体の健康にも良い影響を与えます。飼う動物にもよりますが、飼い主の運動量が増えたり、血圧が下がったりすることが分かっています。定期的な運動が健康に与える影響は大きく、イギリスでは半数以上の消費者が、健康的な生活には定期的な運動が欠かせないと考えています。犬の散歩を日課にすることはこの定期的な運動として効果的です。ペットの世話がルーティンに加わることで、日々の活動量や歩数が増えることにつながり、自然と毎日運動することができるのです。

ペットの健康をサポートするには

ペットが私たちの心身の健康を支えてくれる一方で、私たちはペットの健康をどのように守るべきでしょうか?ミンテルの最新レポート「ペットフードの未来」によると、ペットフード市場では「健康志向」のニーズが年々高まっています。つまり、飼い主は自身の健康と同様に、ペットの健康も重視しているのです。

ペットの健康を促進し、優先させるための重要な方法のひとつは、より健康的なペットフードを選ぶことです。このトレンドについて、詳しく見ていきましょう。

健康志向のペットフード需要の拡大

ここ数年、ペットフードの選択基準として「健康」がますます重要視されるようになっています。2023年には、イギリスのペットフード購入者の60%が、商品を選択する際、その商品が健康的かどうかを考慮して購入すると回答しました。

この傾向は、ミンテルのペットフード市場レポートにも詳しく記載されていますが、ペットフードブランド各社は、健康面での利点をアピールした新商品を続々と開発・販売しています。実際、ミンテル世界新商品データベース(ミンテルGNPD)によれば、2023年の新商品の半数以上が健康関連の訴求を含んでおり、これは過去10年間で大幅に増加し、今後もこの傾向が続くと予想されます。

猫と犬:どちらのフードがより健康的?

2022年のアメリカでの調査では、ペットの健康向上のためにペットフードを変えたと回答した飼い主が全体の3分の1にのぼりました。この点では、猫の飼い主の方が、犬の飼い主よりもわずかに健康志向が高い傾向が見られます。これは、味や価格を理由にフードを切り替えたと答えた消費者(全体の約6分の1)を大きく上回っており、猫と犬のどちらを飼っているかに関わらず、ペットフードを切り替える際の主な動機は、健康とウェルネスとなっています。一方で、犬の飼い主は「ペットの好み」を優先する傾向があり、猫の飼い主は、わずかながら「コスト」をより重視する傾向があることも分かっています。

健康的なペットフードの新たな選択肢

健康的なペットフードの需要の高まりに伴って、ペットフード市場では健康面を訴求する製品が増えており、市場がこの分野に注力していることが分かります。イギリスの消費者の多くは、ペットの体重管理のための「パーソナライズされた食事プラン」にも関心を示しています。

過去には昆虫由来のタンパク質がトレンド食材となりましたが、現在注目を集めているのは、フードの保存方法です。その結果、ペットに合わせた新鮮な食事の需要に応える、フレッシュフードや冷凍フード、手作りフードといった新しいタイプの商品が人気を高めています。アメリカでは、2020年から2021年にかけて冷凍ペットフードの売上が2桁の成長を遂げ、ペットフード購入者の半数以上が、市販のフードよりも健康的だと考えて、フレッシュフードを購入しています。ミンテルは2016年に、チルド(冷蔵)ペットフード市場が拡大すると予測していましたが、今まさにその予測が現実のものとなっています。

健康的なペットフードにおける世代間のトレンド

健康的なペットフードを求める傾向は、特に若い世代で顕著に見られます。イギリスでは、成人全体と若年層の間で、手作りのペットフードは自然で健康的と考える割合に格差が見られます。16歳から34歳の消費者は、年上の世代よりもはるかに、チルドおよび冷凍フードへの関心を持っています。

ミンテルの見解

近年、ペットフード市場では消費者の関心が健康志向へシフトしており、これはイギリスとアメリカの両方で、チルドおよび冷凍ペットフードの種類が大幅に増加していることにも表れています。この動きは若い世代のペットオーナーの間で特に顕著ですが、幅広い層に浸透しつつあります。

今後数年のうちに、ペットごとにカスタマイズされたオーダーメイド型のペットフードの人気が高まると予想されます。ペットが私たちの生活においてより重要な存在となる中で、飼い主はペットの健康維持により多くの時間や予算を割くようになるでしょう。さらに、健康だけでなく、サステナビリティや倫理的な消費といった点もより重視されるようになると考えられます。

ペットフード業界の最新動向について詳しく知りたい方は、ミンテルの市場調査レポートをご覧ください。

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