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ナイキのCEO*は今年4月に、同社の大胆かつ革新的なイノベーション低下の要因として、新型コロナ以降のリモートワークへの移行を指摘しました。食品・飲料メーカーも、イノベーションに関して同様の問題を抱えています。

 

ミンテル世界新商品データベース(GNPD)によると、2019年にイギリスで発売された食品・飲料では21%が「新」商品、すなわち「真のイノベーション」でした。しかし、この割合はパンデミック以降徐々に減少しており、2024年第1四半期ではわずか15%となっています。これはつまり、新パッケージや商品ラインの拡大、製品の改良といった「リノベーション」が、同時期に79%から85%まで増加しているということです。

 

これは果たして問題なのでしょうか?ミンテルの消費者データによると、問題なのです。消費者の38%は、「常に/ほぼ常に新しい食品やフレーバーを探している」と回答しており、Z世代(16-24歳)ではこの割合が半数近くに達します。斬新なイノベーションを求める消費者のニーズは、確かに存在しているのです。

 

人工知能(AI)の急速な発展により、食品・飲料ブランドは、より少ないコストや時間で革新的なイノベーションを生み出すことができるようになりました。この新たなテクノロジーは、新成分開発から新たなカテゴリーの創出、あるいはイノベーションサイクルの加速化にいたるまで、さまざまな方法で企業のイノベーションに役立っています。

 

ダブリンを拠点とするバイオテクノロジー企業Nuritasは、AIを活用することで、筋肉の健康をサポートするそら豆由来の新成分PeptiStrongを発見しました。同社は、従来の方法でこの成分を特定していた場合、1000年はかかっていただろうと推定しています。

 

AIは、新商品のコンセプト設定から発売までの時間を大幅に短縮します。チリのスタートアップ企業NotCoは、AIを活用することで、数年前には不可能とされていたタイムスケールで新たなカテゴリーを生み出せることを実証しました。同社はわずか5か月で新たなプラントベース飲料、NotMilk Chocolateを開発・発売しています。

 

大手企業は当然、研究開発にAIを導入するのにもより時間がかかるため、テクノロジーに精通したスタートアップ企業のイノベーションに後れを取らないようにする必要があります。AIにより、大規模なマーケティングや研究開発部門を必要とせず、小規模チームでもアルゴリズムで業務を拡大できるため、新興企業の参入障壁は低くなります。

  

大手企業は、「長いものには巻かれろ」という格言に一度耳を傾けてみてもよいでしょう。クラフト・ハインツはNotCoとコラボし、8か月の期間を経てアメリカでNotCheeseブランドを開発しました。数年前であれば、これは少なくとも2年はかかっていたはずです。

 

大手企業は中小企業ほど柔軟かつ機敏に変化を取り入れることはできませんが、AIの力を活用することで大きなアドバンテージを得ることができます。例えば、歴史あるブランドは長年にわたる独自のデータがある強みを生かし、AIでこのデータを分析し活用することで、革新的な商品をより迅速に開発することができます。

 

一つ確かなこと。それはAIの時代において、質の高いデータこそが競争の極めて大きなアドバンテージになるということです。

 

*出典:https://www.cnbc.com/2024/04/12/nike-ceo-blames-remote-work-for-innovation-slowdown.html

 

執筆者:Jonny Forsyth

ミンテル フード&ドリンク シニアディレクター、クライアントアドバイザリー

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