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ソーシャルメディア発の「ガールディナー」スナックプレートやフリーズドライキャンディ、ドバイチョコレートといったトレンドは、マルチセンサリー(五感)に訴えるスナック・菓子体験を主流へと押し上げました。これらの話題商品は、印象的な色合い、意外性のある食感、魅力的な香りによって、味覚だけにとどまらない消費体験を提供しています。また、マルチセンサリーな食品・飲料は気分の向上にも寄与し、英国では「複数の感覚に働きかける食品・飲料は、味だけよりも気分を高める」と57%の成人が回答しています

こうした新奇性や遊び心のあるバズ商品は、特に若年層の行動に影響を与えており、食べるものを決める前にSNSを確認する行動を促しています。実際に、米国の18〜44歳のスナック消費者の30%が「試すスナックはSNSの影響を受ける」と回答しています。また、親世代にも影響は広がっており、子どもがいるスナック消費者の37%が「子どもが好みそうかどうか」を基準に購入しています

なぜマルチセンサリー体験が重要なのか

複数の感覚に働きかけるスナック・菓子のイノベーションは、単調化・バーチャル化・孤立化が進む現代の日常において、重要な役割を果たします。味を評価し、色を観察し、食感の音に耳を傾け、香りを楽しむことで、消費者はその瞬間に没入する体験を得ることができます。

また、マルチセンサリーな商品は、新しい食体験を求める消費者ニーズにも応えています。たとえば、米国ではガム・ミント利用者の26%が購入時に「食感」を重視しており、さらにドバイチョコレートの流行により、非チョコレート菓子でも国際的なフレーバーへの関心が高まっており、28%が興味を示しています

さらに消費者は、自ら食品や飲料と組み合わせることで、感覚体験を積極的に変化させています。たとえば、米国ではチョコレート購入者の40%が塩味スナックと組み合わせて食べ、38%が飲料と一緒に楽しんでいます

また、マルチセンサリーな商品は共有する理由を増やします。インドでは79%の成人が「新しいスナックを友人と試して反応を見るのは楽しい」と回答しており、色や食感、香りの変化によって他者の反応が可視化されることで、シェア価値がさらに高まります

マルチセンサリーなイノベーションを、“目新しさ”から“実用性”

ミンテルの「2026年:ミンテルグローバル食品・飲料トレンド予測」では、2026年をマルチセンサリー・イノベーションの転換点と位置づけています。今後は単なる新奇性ではなく、感覚への働きかけを通じて実用的かつ目的志向のある商品設計が求められます。

2030年に向けては、色・食感・形状・香りを戦略的に活用し、これまで十分に満たされてこなかった消費者層のニーズに応える方向へ進むと予測されています。特に、GLP-1系薬剤利用者、ニューロダイバーシティを持つ人々、高齢者層がニーズを考慮すべき対象となります。

1. GLP-1系薬剤の利用者

多くのカテゴリーと同様に、スナック・菓子ブランドも、慢性疾患の管理や減量のために用いられるGLP-1系薬剤の広がりという大きな変化への対応・適応が進んでいます。マルチセンサリーなイノベーションは、こうした薬剤を利用する一部の消費者が、食や飲料とのつながりを取り戻すことを支えます。ブランドは、少量でも満足感をもたらすために色、食感、香りを巧みに使うファインダイニングの演出からヒントを得ることができます。特に、ホルモンや脳内化学、感覚の相互作用を意識するGLP-1利用者に向けては、香りを活用した食品イノベーションに具体的な機会があります。

2. ニューロダイバーシティを持つ人々

次に、より多くの注目が必要なのが、ニューロダイバーシティを持つ人々です。「Love on the Spectrum」や「The Traitors」といったテレビ番組は、ニューロダイバーシティを持つ人々の多様な体験への理解を広げています。自閉スペクトラム症をはじめとするニューロダイバージェンスのある人々の多くは、特定の食感、香り、見た目に対して敏感であったり、否定的な反応を示したりすることがあります。米国小児科学会によると、自閉症の子どもの最大70%が、食べ物が口の中でどう感じられるかを基準に食品を選んでおり、これは定型発達の子どもの11%と比べて大きな差があります。

今後は、ブランドが感覚の強さや特徴を事前に把握できる表示(予測可能性の手がかり)を導入することで、感覚に敏感な消費者の食体験を改善していくことが期待されます。たとえば、パッケージ上に感覚の強さを示すメーターを表示すれば、ニューロダイバーシティを持つ消費者(そしてすべての消費者)が、風味や食感の強度をより把握しやすくなります。こうした包摂的な商品開発は、ニューロダイバージェントの人々に向けた商品でありながら、結果的にマス市場にも広く受け入れられる可能性があります。

3. 高齢者層

マルチセンサリーな商品開発において、3つ目に重要なのが高齢者層です。平均寿命の延伸に伴い、多くの人が従来の“高齢者像”を超えたライフスタイルを送っており、ブランドにとっては、高齢消費者のニーズや趣味・関心に応える新たな機会が広がっています。たとえば、米国の65歳以上の消費者のほぼ半数が、毎日ビデオゲームを楽しんでいます。 ブランドは、満足感のある食感、懐かしさを感じるフレーバー、集中力や覚醒感をサポートする機能性成分を備えたスナックや菓子によって、高齢のゲーマー層にアプローチできます。このように創造性を活かして設計された商品は、高齢者だけでなく、幅広い消費者にも訴求する可能性があります。

このトレンドが示すこと

スナック・菓子カテゴリーは、消費者がこのカテゴリーに期待する「楽しさ」と「満足感」を両立させる、驚きのあるマルチセンサリー商品を生み出すうえで主導的な役割を果たすことができます。今後、消費者は、食感、香り、見た目を創造的に活用した商品にますます惹かれていくでしょう。特に、マルチセンサリーなイノベーションは、これまで十分に満たされてこなかった消費者の感覚ニーズへの理解を深めるとともに、すべての消費者に訴求し得る商品開発を促す重要なきっかけとなります。

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