ミンテルは、日焼け止め製品を「スキンケア化」するための5つの戦略的アプローチを特定しました。本分析では、原料メーカーの専門的な視点を取り入れるべく、Susonity社 グローバル マーケティング ディレクター(ビューティー&プロテクション担当)の Elena Nunno 氏の協力を得ています。
消費者は今、日焼け止めに対して単なるUVカット以上の価値を求めています。中国の日焼け止め利用者の59%が、「日焼け止め製品には、より多くのスキンケア効果が備わるべきだ」と回答しています。また、2024~25年に発売された日焼け止め製品の半数以上が「保湿」を訴求し、さらに3分の1が「敏感肌向け」を謳っています(ミンテル世界新商品データベースより)。こうした状況から、今後の成長を実現するには、既存の訴求にとどまらない、より革新的で差別化された形での日焼け止めの“スキンケア化”が求められていることが分かります。
1. 「SPFサンドイッチ」を意識したイノベーション
「SPFサンドイッチ」(メイクの下と上に日焼け止めを重ねて使用する手法)は、現在トレンドとして注目されています。SNS発のトレンドは一過性に終わることもありますが、適切にポジショニングできれば、この手法は長期的な成長機会につながる可能性を秘めています。
- 手軽に実践でき、より高い紫外線防御効果が得られる点を強調することが重要です。ミンテルの調査でも、日焼け止めにおいて「手軽さ」や「持続性」は、消費者が重視する重要な訴求ポイントであることが示されています。
- 重ね塗り時のヨレやベタつきといった課題に対しては、ミストタイプや新たに登場しているブラシタイプなど、軽やかで汗に強く、メイクと自然に重ねられるフォーマットでの対応が有効です。

2. Kビューティー3.0を成長機会として捉える
日焼け止めにおける「ブライトニング(明るさ)」の訴求は、近年の製品開発において拡大しており、日焼け止め利用者の3分の1が自然なツヤ感を重視すると回答しているブラジルの消費者を引き付けています。
- 2025年のK-Beautyブームを取り入れることで、ブライトニング訴求をさらに進化させましょう。 ヘルシーな輝き、肌バリア機能の健やかさ、そして科学的根拠に基づいた処方に焦点を当てることが鍵となります。
- Galskinに着想を得た、メラニン量の多い肌向けのK-Beauty発想の日焼け止めを開発。

3. ロンジェビティ・ビューティーを取り込む
日焼け止めは、エイジングサインの予防という観点からも、重要な購入動機となっています。カナダでは、日焼け止め利用者の57%が「加齢への懸念」を理由に使用頻度を高めていると回答しており、その割合は皮膚がん予防56%をわずかに上回っています。
こうした背景から、生物学的年齢や細胞老化、予防的エイジングに着目する「ロンジェビティ・スキンケア」の潮流は、日焼け止めのスキニフィケーションを促進します。
- Haut.AIの「SPF Truth Booth」のようなエイジング・シミュレーションツールを活用しましょう。
- ロンジェビティにおけるビタミンDの役割に着目し、VMS(ビタミン・ミネラル・サプリメント)を組み合わせる、あるいはBoost Labの「Goody Goody Sun Drops SPF 50+」のような活性型ビタミンD対応SPF技術を取り入れると良いでしょう。
- PDRN、ATP、NAD+など、近年注目されているロンジェビティ系成分の活用を検討しましょう。

Lacidemは、「 NAD+ Hydrating Water Drop Sun Lotion SPF50」に
NAD+などの有効成分を活用し、日焼け止めのイノベーションを牽引している。
出典:Lacidem

4. GLP-1の影響への対応
GLP-1と減量薬への注目が、 BPC(ビューティ&パーソナルケア)市場の構造に変化をもたらしています。英国では、25〜34歳の約半数が注射型の減量薬に関心を示しており、「オゼンピックフェイス(減量薬の使用により、頬がこけたり、目がくぼんだり、皮膚がたるんだりすることを指す )」をターゲットにした新製品開発(例:Volulift)も現れ始めています。
- GLP-1使用を前提とした日焼け止め設計 を検討しましょう。 たとえばDr Fewは、GLP-1治療によって肌の紫外線感受性が高まる可能性を示唆し、肌を守り治療効果を維持するために、毎日のSPFケアを推奨しています。
- 肌のレジリエンス(回復力)を高め、ダメージを受けやすい肌の損傷を防ぐことに注力しましょう。GLP-1使用者と非使用者の双方を視野に入れ、リーチを拡大するとともに、高い有効性を示唆しましょう。

GLP-1が肌に与える影響を踏まえて開発された日焼け止めで注目を集めるDr. Few
出典:Dr. Few(Instagram)

5. アフターサン(日焼け後)ケアを見落とさない
ミンテル世界新商品データベースによると、アフターサンケア市場は革新性が低下している分野(2020-2025年)となっています。
一方、SNS上では、日焼けした肌の見た目を美化するトレンドも拡大しており、アフターサンケアの需要が再び注目される可能性も高まっています。各ブランドもこれに対応し始めており、ラ・ロッシュ・ポゼの「#DermsAgainstBurns」キャンペーンでは、「 burn lines (日焼け跡)」や「 sunburn tattoos (日焼けタトゥー)」といったTikTokで拡散するバイラルトレンドに対し、皮膚科医の視点から警鐘を鳴らしています。
・こうした見過ごされがちなセグメントにおいては、修復・再生を軸としたイノベーションが鍵となるでしょう。バイオテクノロジー成分(エクトイン、アルギニン、 The Solar Repair Complex) を採用するラグジュアリー「ポストサンケア」ブランド、Zure Solarisの事例は、その方向性を示す好例といえます。

アフターサンケアの革新者、Zure Solarisが細胞修復のための
次世代ラグジュアリー「ポストサンケア」製品を開発。
出典:Zure Solaris、Instagram

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