アジア・太平洋地域を魅了しつづける韓国の美容トレンド

アジア・太平洋地域を魅了しつづける韓国の美容トレンド

Published: 2024年12月13日
この記事は8分で読めます

K-Beautyとは?

K-Beautyは韓国美容の略語であり、韓国発祥のスキンケア、化粧品やトレンドを総称する言葉です。いまや韓国美容はAPAC(アジア・太平洋地域)で絶大な人気を博し、世界全体に影響力を与える存在となっています。今回は以下の3つのポイントに焦点を当てて、韓国美容のトレンドを解説いたします。

  • 有効性
  • 革新性
  • コストメリット

韓国のスキンケアと美容は、韓国のポップカルチャーの影響を受け、美容やパーソナルケア業界のトレンドセッターとして流行を生み出してきました。
本記事では、韓国の美容トレンドが人気を伸ばし続ける理由に迫り、美容とパーソナルケア業界全体が韓国の美容の成功例から何を学ぶことができるかをご紹介いたします。

韓国美容の市場規模について

韓国のスキンケア市場は2023年より2.5%増加すると予測されています。市場を牽引するフェイシャルケア部門は、2024年に5兆4100億ウォン(2024年12月時点の為替で約5,770億円)に達する見込みで、2023年と比べて大幅に増加しています。

日本への影響力も大きく、2024年の韓国からの美容製品の輸入量はフランスを上回り、前年比120.8%増となっています。

韓国美容はなぜ人気?

1.顧客を魅了する手頃な価格帯

韓国の美容トレンドはビューティ・パーソナルケア業界全体、特にアジアの消費者にとっての流行の最先端です。アジア人の顔つきに合わせたルックス作りで知られ、世界的なインフレの状況下に欠かせない手頃な価格が評価されています。日本の美容レビューサイトである@cosme のランキングでは、VTInnisfree, and ROM&NDなど、低価格帯の製品を提供するブランドがランクインしています。

消費者へのアピールの鍵は、製品の効力と安全性を妥協することなく、リーズナブルな価格帯と流行りの外見への欲求のバランスを取ることです。若年層の消費者は特に良心的な価格帯の美容製品を求めています。:インドのZ世代の30%はもっと手頃な美容製品があってもいいはずだと考えています。

2.韓国のポップカルチャーへの関心が人気を後押し

インドのSNS分析によると、韓国ドラマやK-Pop、韓国美容のトレンドに関する投稿数は過去2年間で620万件に上り、大部分が19~24歳の年齢層によるものでした。APAC(アジア・太平洋地域)全体で続くK-Popの人気は、韓国のスキンケアや美容製品に対する関心の高さにも影響を与えています。

韓国文化の影響力は、美容や食事、映画などを通じて多方面で拡大しており、Netflixで話題となった韓国ドラマ「愛の不時着」や「梨泰院クラス」によって勢いが加速しています。これらの流行は減速の兆しを見せておらず、美容業界にとっても最新の動向を把握することが極めて重要です。国内外の企業は、韓国ドラマに注目し、俳優たちのメイクアップの再現方法を紹介するなどして、消費者のコミュニケーションに活かすことができるでしょう。

韓国スキンケア市場の消費者トレンド

J-Beauty(日本の美容)は、C-Beauty(中国の美容)やK-Beauty(韓国の美容)ブランドに比べ、専門的で上質なイメージを持たれることが多い一方で、韓国のスキンケア市場は、革新性やトレンド、利便性の観点から、依然としてAPAC(アジア・太平洋地域)の消費者から支持を得ています。

韓国のスキンケアが先進的である理由は?

1.アンチエイジングからスローエイジングへの転換をリード

韓国美容の中でも特に注目すべきトレンドは「スローエイジング」で、ウェルビーイングに意欲的なミレニアル世代とZ世代の関心を集めています。単なる老化防止ではなく、長期的な肌健康を保つ予防的スキンケアに意識が高まり続けているため、「アンチエイジング」から「ヘルシースキンエイジング」へのトレンドの切り替えが極めて重要になるでしょう。

韓国ではこのトレンドを反映した製品が発売されており、スローエイジングに関連したスキンケア製品が目に見えて増加しています。

be wants(ビーウォンツ)は植物由来の成分を用いて変化し続ける肌に美しさをもたらすスローエイジングブランドです。

2.韓国スキンケアで肌トラブルに取り組む

ミンテルの調査によると、中国や日本の消費者と比較し、韓国の消費者はシミやニキビ、アレルギー反応や皮膚炎といった肌トラブルを抱えている割合が多い傾向にあります。特に、乾癬(かんせん)に罹る韓国の消費者は中国や日本の2倍以上の報告があります。他の市場でも同様のことが言えますが、韓国市場で成功するためには、韓国人特有のスキンケアやニーズを理解し、それに対応する製品を提供することが極めて重要となります。

25~34歳の韓国人女性の43%は、専門家の勧めがあれば美容製品を正規の価格で購入してもよいと考えています。

出典: 2024 韓国のスキンケア: 消費者と製品トレンド (弊社のお客様のみアクセス可能)

逼迫した予算の中で、消費者が実証性や効果の高いスキンケア製品をより一層求めるようになっていることから、企業は効果の実証を優先するようになっています。韓国のスキンケア市場では、革新性と研究主導型の取り組みで知られているため、この変化をリードする立場にあります。

3.韓国スキンケアの利便性

アジア全域では、便利なスキンケアに対する強い需要があり、特に韓国では手早く使いやすい製品が重視されています。韓国では生活をシンプルにできるスキンケア製品に出費を厭わない人が多く、利便性のトレンドを反映し、スピードを強みとする製品の発売が増加しています。その結果、韓国のスキンケア市場で成功するためには、使いやすさや便利なパッケージといった新たな利便性の訴求が不可欠となります。


韓国人の約70%が、生活の利便性を高める製品にはお金を払ってもよいと考えています。

出典: 2024 韓国のスキンケア: 消費者と製品トレンド (弊社のお客様のみアクセス可能)


バノバギのミルクシスルシカリペアクイックマスクは、肌を鎮静させ、潤いを与えて輝きを高め、赤みを抑えるデイリー使いのシートマスクです。シートを取り出しやすくするピンセットが付属しています。

消費者は、日常生活の多くの場面で利便性を追求するでしょう。したがって、スキンケアの利便性に重きをおくことは、韓国の消費者の嗜好と一致します。この市場では、使いやすく多機能であるブランドに需要が高まる可能性が高いと言えます。

同様に、インドでは、中国、日本、韓国など他のAPAC(アジア・太平洋地域)市場に触発され、使いやすさや製品の詰め替えなどの利便性に対する関心が高まっています。全体として、利便性を重視する姿勢はアジアの各市場の消費者の嗜好に一致しており、多機能で使いやすいスキンケア製品の需要を促進しているのです。

カラーコスメにおける韓国美容トレンド

韓国スキンケアの影響力はカラーコスメにも

韓国スキンケアで急増したアンチエイジングやスローエイジングへの訴求は韓国のカラーコスメ分野にも浸透しており、過去1年間で肌に良いファンデーションの発売が一般化しました。企業は、急速に進化する「スキニフィケーション」のトレンドにも気を配る必要があるでしょう。

韓国美容市場における天然成分

天然成分は肌へ効果的とされ、刺激の少ない化学物質を使用するため、消費者に価値が伝わりやすい特徴があります。企業は「グリーンビューティー」を目指す幅広い動きの一環として、自然で倫理的な美容製品を求める消費者の嗜好に沿うよう、ハーブや植物成分を活用しています。

韓国人の30%近くが、天然成分で作られた美容製品やエチケット製品はコストパフォーマンスが良いと感じる (リンク先は弊社のお客様のみアクセス可能)ことから、成分を全面的に押し出すことは、消費者へのブランドアピールとして非常に重要と言えます。メイクアップにおける「スキニフィケーション」のトレンドの加速と共に、カラーコスメカテゴリーにおいても美容成分に対する消費者の関心が一層広がるでしょう。

ナチュラル志向への関心の高まりがもたらすカラーコスメのトレンド

韓国の消費者のリップメイクの好みは絶えず変化しています。SNSのデータによると、口紅カテゴリーでは「マット」と「赤」のキーワードが減少している一方で、「ティント」、「ツヤ」、「ピンク」は過去 2 年間、増加傾向にあります。このトレンドの変化は、ナチュラルでみずみずしいメイクの需要の高まりに直接起因していると考えられます。

デイジークのフルーツリップジャム は、鮮やかな発色と重ねづけできるリッチなグロスコーティングで、唇をより健康的でふっくらと見せ、ハツラツとした印象を与えてくれると宣伝されています。

結果として、韓国の美容市場のカラーコスメカテゴリーでは、消費者の需要の高まりに応えようとツヤ感のあるティント製品の発売が急増しています。この急成長する市場環境でブランドが成功するためには、ツヤ感以上の効果が必要となるでしょう。色持ちや、軽いつけ心地、保湿などの特長を掲げ、バリエーションが豊富な色展開を用意することで、製品を差別化していく必要があります。

ミンテルとともに未来を見据える

ミンテルのインサイトによれば、K-Popや韓国文化、そしてそれに続く韓国美容のトレンドはしばらく衰える気配がなく、韓国文化の継続的な人気に後押しされると考えられます。

韓国のスキンケアや美容製品は、APAC(アジア・太平洋地域)に限らず、世界各国の消費者がその革新性や有効性、コストメリットを高く評価しています。日本の美容製品はより専門的で上質であるというイメージを受け、人気も上昇傾向にある一方で、韓国美容市場は、手頃な価格で手に入る流行の最先端としての位置づけにおいて利益を生み出しているのです。

その他の美容市場調査の詳細については、ミンテルの2025年:世界のビューティ&パーソナルケアトレンドレポートをご覧いただくか、ミンテルSpotlightをぜひご購読ください。Spotlightにご登録いただくと、無料リソースの更新情報をメールでお届けします。ここでは、お客様にとって重要な市場に関するインサイト、新たな視点、そして革新的な分析をご覧いただけます。

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