長寿地域の生活様式を取り入れる「ブルーゾーン・ダイエット」
月経期を心地よく過ごすための「サイクル・シンキング」
ロンドン本社を含め13か国にオフィスを構える市場調査会社「Mintel Group」の日本法人であり、美容やライフスタイル、食品・飲料分野におけるグローバル調査に強みを持つ、株式会社ミンテルジャパン(東京都千代田区)は、2024年8月22日(木)に『2024年:アジア太平洋地域における食品・飲料業界の動向』と題した日本語版の無料レポートを発刊し、「健康寿命の延伸をサポートする食品・飲料」、「食品・飲料におけるフェムケア」、「東南アジアの消費者向け飲料フレーバーの開発」の3つの最新トレンドを明らかにしました。
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世界的に高齢化が進むにつれ、「長寿」はアジア太平洋地域の消費者が食品・飲料を選択する際の優先順位に影響を及ぼしています。長寿地域の食生活の原則を取り入れる「ブルーゾーン・ダイエット」の原則を取り入れるなどして、消費者の生活の質を高める商品開発の事例も見られています。
また、女性の社会進出にも後押しされて話題になっている「フェムケア」の考え方の浸透に伴い、「月経の安定」や「妊産婦向けの栄養補給」をサポートする食品・飲料の開発も世界各国で活発になっています。月経を4つのフェーズに分けて、それぞれの段階で必要となる栄養素を補給する商品の発売が見られ、月経周期に合わせて食事や生活様式を変える「サイクル・シンキング」がウェルネス産業界において注目を集めているとミンテルアナリストは示唆します。
東南アジアのコーヒー業界においては、新規性のあるフレーバーの開発が急務となっています。また、ベトナムやインドネシアでミンテルが行った消費者調査から、アメリカで流行しているプレバイオティクスを配合した炭酸飲料が東南アジアでも商機があると、ミンテルアナリストは解説します。
本リリースで取り上げるトピックス
- 健康寿命の延伸をサポートする食品・飲料:ブルーゾーン・ダイエットを取り入れた例
- 食品・飲料におけるフェムケア:月経の安定や妊産婦の栄養補給をサポートする
- 東南アジアの消費者向けの飲料フレーバー:コーヒーとプレバイオティクス入り炭酸飲料
健康寿命の延伸をサポートする食品・飲料:
ブルーゾーン・ダイエットを取り入れた例
国連は、平均寿命の著しい延びにより、今の時代を「長寿革命(longevity revolution)」と呼んでいますが、寿命が延びることには、加齢による疾患リスクや経済困難に陥るリスクが生じるなどのさまざまな課題が待ち受けています。「食品・飲料業界の各企業は、コスト効率と価格の手頃さを確保しつつ、高齢化する人口特有のニーズに対応しなければならないでしょう。」と、ミンテル食品・飲料分野のプリンシパル・アナリスト、Jolene Ngは本レポートの中で述べています。
【健康寿命延伸の訴求×手軽さの商品例】
アメリカで発売された、Blue Zones Kitchen Sesame Ginger Bowlはブルーゾーン・ダイエット(長寿が多い地域の生活様式を取り入れる活動 )の原則をベースに、沖縄のフレーバーや原材料を取り入れている。また 、レンジ調理が 可能で、外出先でも手軽に食べることができるのが特長。
食品・飲料におけるフェムケア:
月経の安定や妊産婦の栄養補給をサポートする
「サイクル・シンキング」を提案する食品・飲料
食品・飲料業界は加齢だけではなく、女性や10代の若者をサポートすることにも注目すべきです。月経周期に合わせて食事や生活様式を変える「サイクル・シンキング」がウェルネス産業界において注目を集めており、「女性の健康」を管理するために、こういった知識を提供し、商品を提示することで女性をサポートすることができます。
「月経の安定」のために、月経周期を4つのフェーズに分け、それぞれの段階に合う商品を提案する例が既にヨーロッパやアジア各国で見られます。また、月経とメンタルヘルスがどのように関連しているかを消費者に啓蒙し、女性が気分の変化や生理の変化を予測できるようにすることも、各企業に求められる今後の役割の一つです。
妊産婦の栄養補給をサポート
年間出生数が最も多い地域であるアジアでは、妊産婦向け乳製品の新製品開発において世界的にリードしています。ミンテル世界新商品データベース(Mintel GNPD)によると、2018年~2022年に発売された世界の新商品の中で、母親向け訴求が含まれる食品・飲料(乳製品)は、アジア太平洋地域が39%と他地域よりも非常に多くなっています。
出典:ミンテル世界新商品データベース(Mintel GNPD)
「妊産婦向けの粉末ミルクは、出産前/出産後の特定の健康問題や健康になろうとする人々の意識をターゲットにすることで、消費者のセルフケアルーティンの維持・向上をサポートできるでしょう。」とアナリストは解説しています。また、消費者が重視するポイントは、妊娠前・妊娠中・出産後でそれぞれ変化するため、妊産婦向けの製品も、乳児用ミルクと同様に「時期ごと」のアプローチを取り入れているものが見られます。
東南アジアの消費者向けの飲料フレーバー:
コーヒーとプレバイオティクス入り炭酸飲料
東南アジアの消費者を魅了するコーヒーフレーバーとは?
「タイの消費者の72%が、コーヒーを選ぶ際にフレーバーは重要だ」と考えていることからも、東南アジアの消費者にとって、フレーバーは非常に重要であると言えます。また、インフレの圧力があるにもかかわらず、東南アジアの消費者が家計の一部を新たなフレーバーの探求に費やしていることも分かっています。家計のやりくりが厳しい時代に、新たなフレーバーを試したいという意欲があるということは、彼らの間で広がる「贅沢感」への逃避を表しています。
「企業は、消費者がインフレ下で家計が苦しい時代に斬新なフレーバーで逃避するのを助けると良いでしょう。RTD(Ready To Drink)以外のコーヒーでは馴染みがありながらも、ひねりを加えたフレーバーを提供し、RTD飲料のフレーバーは、1回で飲み切ることから斬新さを追求することができます。」とアナリストのJolene Ngは述べ、本レポートの中で具体的な商品例を挙げています。
プレバイオティクス入り炭酸飲料をアルコールの代替として提案する
ミンテル世界新商品データベース(Mintel GNPD)のデータによると、アメリカではプレバイオティクス入りの炭酸飲料が流行しており、東南アジア諸国においても開発が進んでいます。プレバイオティクス炭酸飲料は、新型コロナの流行によって加速した東南アジア消費者の「腸の健康」への関心に応えるものです。インドネシアとフィリピンの消費者の4人に3人以上は、健康食品・飲料を購入する際の主な要因として、腸の健康増進を挙げています。
法的な飲酒年齢を満たすベトナムの消費者の44%が、アルコールの消費量を減らしているという調査結果もあることから、 東南アジアの消費者はアルコールの摂取を控えていることが分かります。こうした消費者は、アルコール飲料をノンアルコール飲料に置き換えています。
「各企業は、プレバイオティクス炭酸飲料をアルコール飲料よりも洗練された、より爽快感のあるアルコール代替飲料として提案すると良いでしょう。プレバイオティクスなどの健康効果は、アルコールを控える消費者の健康意識にも寄り添うことができます。」と本レポートの中で解説しています。